用途についてもう少し見てみよう。
石灰の用途は多岐にわたるが、その一つに水を綺麗にしたり、海をよみがえらせる事にも使用される。

昔から漁業やレクリエーションの場として私たちに多大の恵みをもたらしてきた海で、近年汚染(富栄養化)が進行し、それに伴って赤潮や青潮が発生して、水辺での憩いや漁業に大きな影響を及ぼしています。
この原因は、下水道整備など汚染防止努力にもかかわらず、新たな生活排水や工場排水に含まれる栄養塩(リンや窒素など)や有機物が 河川流と共に海に流入し、過去に蓄積された底泥有機ヘドロと相まって、内湾など閉鎖性水域を富栄養化状態にしているためです。
また、「取る漁業」から「作る漁業」へと沿岸養殖漁業の拡大とともに 残餌や糞等の堆積物も局所的な汚染に拍車をかけています。
そこで石灰が使用されます。
石灰を散布することによって以下の様な効果があります。

  有機物の分解促進
石灰によるアルカリ分解は冬季(低温) でも促進され、赤潮の発生しやすい夏季に分解が集中することを防ぐ。

 リン及び重金属の固定
赤潮発生因子の一つであるリンはリン酸石灰として沈殿除去され、赤潮の増 殖促進物質の重金属類は石灰塩として低泥中に固定される。

 作用効果の持続性
石灰は海水中でマグネシウムと置換され、水酸化マグネシウムとなる。
 水酸化マグネシウムは溶解度が小さいので、アルカリ作用が持続する。

 硫化水素の発生防止
海底近くが酸欠状態になると、嫌気性の硫酸還元菌が活動し硫化水素が 発生 するが、石灰はこの菌の増殖を阻止する。
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